このページは、「サービス利用者の自己決定、自己責任」支援について➀「サービス利用者の自己決定について」の続編となっております。
前記では、「本人の自己決定、自己責任」で支援するための自己決定を進めるためには、支援者は情報提供を行う必要がある話をしました。
前回のまとめ「自己決定を進めるためには」
・「他者からの干渉」をより少なくすることが必要である。
・支援者は、出来る限り情報提供のみを行うことが望ましい。
との話でした。今回は、「情報提供」について話したいと思います。
サービス利用者(障害当事者)への情報提供
自己決定を進めていく上で支援者が困ってしまうのが情報提供です。どこまでが情報提供でどこからが「他者からの干渉」になってしまうのか?これは、非常に難しいです。前記の熱心な先輩は果たして情報提供者として不適切だったのかと考えるとそれは、受けて側の考え方もあると思います。人によっては、情報提供になり、人によっては「他者からの干渉」になってしまう。 サービス利用者と支援者とのパワーバランス にもよると思います。その点を理解しながら相手の表情やしぐさなどを観察し情報提供を行う事が大切だと思います。
具体的に情報提供の仕方を考えます。まず、情報提供と聞いた時にどんなイメージをしますか?そのイメージして貰ったものが基本的に情報提供だと思ってください。具体的に言うと、客観的で事実に基づいた良い点、悪い点を述べる事が大切だと思います。主観的な情報は極力提供しない様に気を付けると良いと思います。主観的な情報を提供すればするほど他者からの干渉になる情報提供になりやすい事を理解してください。
主観的な情報例
「主観的と分かりやすい例」
好き、嫌い、○○の方が良い、悪い 等
「主観的と分かりにくい例」
高い、低い、軽い、重い、安い、高い等も主観的な表現に含まれる事があります。
10kgは一定ですが人によっては重いと感じます。また、人によっては軽いと感じます。
客観的な情報例
〇〇cm、〇〇グラム、○○m、○○円、○○より大きい、○○より軽い など
具体的な数値や具体的な比較をして伝える 方がより良いと思います。例えば
次に例で考えたいと思います。
サービス利用者が「今日のお昼ご飯めんどくさいし、お金ないから、某ファーストフードにしようかな~A職員さんはどう思います。」
と言われた場合どのように情報提供を行えば良いでしょうか?
主観的な情報提供例
「そんなん食べたら太るし、体に悪いからやめた方が良いよ。」
「私、某ファーストフード嫌いやわ」
「某ファーストフード高いよね?家でご飯したら良いんじゃない?」 等
客観的な情報提供例
「某ファーストフードはカロリー高いし、保存料が多いと聞きいた事があります。でもレストランに入るより安く食べれますね。」
「某ファーストフードは700円くらいはかかります。A店であれば600円くらいで食べれますよ。」
「某ファーストフードは、バリアフリーで車椅子ユーザーでも利用しやすいですね。」 等
※より具体的なデータがあれば良いかもしれないですけど、理屈が嫌いな方もおられます。
☐確実な客観的な情報とは言えませんが、主観ではない客観的な情報ではあります。
なぜならば…
情報提供は相手(サービス利用者)に伝わる事が大事
情報提供する上でもう一つ大切な要素があります。それは、相手に伝わる事です。例えば上記の例で「某○○バーガーは○○カロリーです。○○と言う人体に○○な効果がある保存料が〇グラム含まれて・・・」と言われるとどうでしょうか?伝わる人もいるかもしれませんが逆にそこまで言われるとある意味で「他者からの干渉」に感じてしまう人もいると思います。ですのでこれは 過剰な情報提供 となっています。たくさんの情報を急に提供する事で混乱する事もあります。なので情報提供は、過不足なく行うことも大切です。たくさんの情報を提供する事が正しいかと思われる反面で その人にとって必要な量の情報提供を行う事が大切 です。
何より情報が相手に伝わる事が大切です。卵焼き卵一つに対して「〇〇グラムの塩を入れました。」と言われて味のイメージが出来る人は殆んどいないと思います。その場合は、主観的であったとしても「塩少なめに入れました。」の方が相手はイメージできるかもしれません。
これは、先程の主観的な情報の話と相反する話ですが客観的に伝えようとした結果、相手に何も伝わらなかったでは、情報提供としては意味がありません。相手に正しい情報を伝える事は一方通行ではなく相手とのやり取り中で相手の理解度も図りながら行わなければならない難しい事だと理解して情報提供を行うようにしてください。何故ならば、最終的に「サービス利用者の自己決定、自己責任」となるからです。
≪ポイント≫
・主観的な意見は出来るだけ避ける。
・客観的な事実に基づいた情報を提供する事を心がける。
・情報の内容が相手に伝わる事が大切。
・サービス利用者の様子や反応などを観察し、「他者からの干渉」になっていないか注意する
続いて
「障害当事者(サービス利用者)の自己責任について」話したいと思います。