このページは、
「障害当事者(サービス利用者)の自己決定について」
「障害当時者(サービス利用者)への情報提供」の続編となっております。
前記では、「本人の自己決定、自己責任」で支援するための自己決定を進めるためには、支援者は情報提供を行う必要がある事、情報提供の際に気を付けるポイントの話をしました。
前回のまとめ
「自己決定を進めるためには」
・「他者からの干渉」をより少なくすることが必要である。
・支援者は、出来る限り情報提供のみを行うことが望ましい。
「情報提供の際には」
・主観的な意見は出来るだけ避ける。
・客観的な事実に基づいた情報を提供する事を心がける。
・情報の内容が相手に伝わる事が大切。
・相手の様子や反応などを観察し、「他者からの干渉」になっていないか注意する
との話でした。今回は、「自己決定、自己責任」+αについて話したいと思います。
サービス利用者(障害当時者)自己決定、自己責任
自己責任とは、
「 自分の行動には自分に責任が存在することや、自身の行動による過失の場合にのみ自身が責任を負うこと 」となっています。支援の現場では、分かりやすく自己決定とセットで考えられる事が多いと思います。簡単に言うと、自己決定したことで何かしらの不利益が出た場合は自己決定した本人が責任を取ることを言います。「責任」と言われると重く捉えてしまう人もいるかもしれませんが、例えば先ほどの例では、某ファーストフードを食べる事で、カロリー過多になる事に対して太る⇒やせるために運動する、あるいは諦めるが責任となります。他には、食べるときの支払うお金、健康に対しての代償を払うことが自己責任となるのです。
これが例えば、親や支援者が選んだ食事の責任となると自己責任ではありませんし、「他者からの干渉」があった場合は、その他者に責任を問われるケースもあるかもしれません。現実の支援の現場では、非常に曖昧に行われている事が多いです。ただ、理解した上での情報提供かどうかで支援後の振り返り方が大きく変わってくることを理解しておいてください。
≪ポイント≫
自己責任とは、自己決定した事に対しての責任である。
これでなんとなく「自己決定、自己責任」が理解できたかと思います。では、逆の立場からの視点で見てみましょう。支援者は、自己決定によって起きた不利益に対して責任はないでしょうか?
自己責任とサービス利用者の利益の最優先とは
例えば、卵アレルギーの方がどうしてもその卵を食べたい、支援者は卵の危険性に十分説明したが本人は食べたいと言ったので「自己責任、自己決定」で食べさせた。結果、病院に搬送された。どうでしょう?これは「本人の自己決定、自己責任」の観点からは正解です。ただ、支援者の倫理感からするとどうでしょう? 私たち支援者は「サービス利用者の利益の最優先」(私たちは、業務の遂行に際して、サービス利用者の利益を最優先に支援を考える)で行動する必要があります。 クライエント=本人は卵を食べた結果、病院に搬送される程の不利益が生じた。
つまり、このケースでは、「他者からの干渉」を行ってでも卵を食べる事を止めなければいけなかったのです。例えばこのケースであれば、支援者からの干渉ではなく、主治医や家族からの干渉で説得を試みる事が優先されると思います。できる限り、 支援者からの「他者からの干渉」 は避けるべきです。でも、目の前で食べようとしていたのであれば、「サービス利用者のの利益の最優先」してください。緊急時においては支援者本人が判断する事になると思いますが、事前に想定出来る事については、落ち着いている時の本人や責任者、先輩、関係機関、家族などから情報収集、確認を行っておくと良いかもしれません。
どちらをとる?「自己決定、自己責任」と「サービス利用者の利益を優先」
「サービス利用者の自己決定、自己責任」を優先するか「サービス利用者の利益」を優先するかは支援者の力量にもよりますし、価値観にもよると思います。可能なかぎり「自己決定、自己責任」で支援ながら、適切な情報提供を行い、「サービス利用者の利益を優先」していただければ良いかと思います。私は、もし自分がサービス利用者ならどちらの支援を優先してもらえた時が良いかで考えています。
≪ポイント≫
・「サービス利用者の自己決定、自己責任」だからと言って支援者は責任がない訳ではない。
・「サービス利用者の利益を最優先」をしっかり考えて判断する必要がある。
最後に
いかがでしたか?「サービス利用者(障害当事者)の自己決定、自己責任」の支援がいかに難しいか考えて頂けるきっかけになればと思い今回の記事を作成しました。正直、まとめていながらも自分自身もまだまだと感じています。これからよりレベルアップして支援していきたいと思います。最後までお読み頂き誠にありがとうございます。